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グリセロリン酸カルシウムの安価な製法を開発
~廃食油を原料としたバイオディーゼル生産の過程で副生~
東京都市大学工学部 准教授の高津淑人は、廃食油を原料とし、石灰石を触媒とするバイオディーゼルの生産過程において、グリセロリン酸カルシウムが副生できることを発見しました。グリセロリン酸カルシウムは、粉ミルクや歯磨き粉、医薬品などのカルシウム強化剤として利用される、機能性に優れた付加価値の高い素材(1万円/㎏)です。
この発見により、バイオディーゼル生産の経済合理性が飛躍的に高まることから、普及の促進が期待されます。
なお、当成果は「化学工学会第82年会」(主催:化学工学会、会期:2017年3月6日~8日)のポスターセッションで発表の予定です。
図1:バイオディーゼル生産時におけるグリセロリン酸カルシウム副生過程
※リン酸:五酸化二リンが水和してできる一連の酸の総称。安価な工業薬品(350~400円/㎏)
研究の背景
バイオディーゼルは、再生可能エネルギーの一つです。既存の車両を使用できることから実用的と評価され、すでに軽油代替燃料としての利用が始まっています。
しかし、現存の水酸化アルカリを触媒とする製法では、有害廃液の副生によって環境面に課題を抱えると共に、製造に多くのコストを要することから経済合理性にも課題がありました。
高津は、石灰石を触媒とする製法を開発したことで、環境面を解決しましたが、依然経済合理性の課題を解決できずにおりました。
図2 バイオディーゼル利用に関する炭素循環
図3 現存の製法と石灰石を触媒利用した製法の比較
応用と課題
廃食油を原料とすることは、廃棄物削減のほか、特に人口密度の高い都市部において、飲食店・食品加工場から原料を大量に確保できる上、バイオディーゼルを利用する多くのバス・トラックが存在するといった利点を有します。都市部で排出される廃食油を都市部で加工・消費する仕組みが整えば、エネルギーの地産地消を実現します。
現在はこれまでのアイデアを検証しながら、更なる生産効率の向上に取り組んでいます。
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~報道関係者からのお問い合わせ先~
東京都市大学 工学部エネルギー化学科 准教授 高津 淑人(こうづ まさと)
学校法人五島育英会(東京都市大学グループ)法人本部広報室
TEL:03-3464-6916