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【東京都市大学・研究成果】高齢者160/100mmHg以上の高血圧 及び37.5℃以上の発熱時、入浴事故のリスク増(人間科学部 早坂信哉教授)
〜訪問入浴等での入浴可否判断に初めて[1]の参考値を提示〜
東京都市大学人間科学部 早坂信哉教授(公衆衛生学、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長)らは、訪問入浴事業所として登録される全2,330か所の事業所に対して訪問入浴に関連する事故・体調不良(以下、入浴事故)の発生を調査し、596例の入浴事故を解析しました。(事故事例平均82.3歳)
これまで訪問入浴等、介護保険が適用される入浴サービスでは、血圧値や体温値等の科学的根拠に基づく入浴の可否判断基準はなく、介護者の経験によって判断されてきましたが、本調査により今般初めて[1]その判断に資する参考値を示すに至りました[2]。これにより科学的根拠に基づく高齢者への安全な入浴の実施が期待されます。
なお、本調査結果は2016年2月22日発刊の「日本温泉気候物理医学会雑誌」に掲載されました。
■調査結果(統計学的に有意)
(1)高血圧時の入浴は事故発生のリスクが高い
・入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上であることは入浴事故の発生と3.63倍*の関連があった
・入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上であることは入浴事故の発生と14.71倍*の関連があった
(2)発熱時の入浴は事故発生のリスクが高い
・入浴前に体温37.5℃以上であることは入浴事故の発生と16.47倍*の関連があった
※血圧の上昇下降、または発熱があったため入浴事故と報告された事例は除く
※オッズ比:統計学的な関連の強さを示す指標
(3)入浴事故として報告された主な症状等は以下のとおりである
発熱100例(16.8%)、呼吸困難・喀痰喀出困難93例(15.6%)、意識障害64例(10.7%)
嘔吐・吐き気63例(10.6%)、外傷63例(10.6%)、血圧上昇46例(7.7%)
血圧低下46例(7.7%)、チアノーゼ・顔色不良36例(6.0%)
(上位、重複報告あり)
■総評
・ これまで血圧値や体温値等の科学的根拠に基づく入浴可否判断基準(ガイドラインやマニュアル)がなかったため、訪問入浴等の介護保険が適用される入浴サービスでは、入浴者の血圧や体温の測定値に基づき、介護者が経験によって入浴の可否を判断していました。
・ 今回、この判断の参考となる血圧値や体温値を、統計的な調査によって初めて数値として示すことができました。訪問入浴のみならず、高齢者入所施設や通所介護、通所リハビリ、家庭での入浴にも活用できる結果と考えられます。
・ただし、当結果は入浴可否判断の絶対的な基準ではなく、最終的には個別に判断されるべきものです。
<以下、調査概要>
■期 間: 2012年6月~2013年5月
■テーマ:訪問入浴に関連する事故・体調不良の発生とそのリスク要因について(症例対照研究)
■対 象:訪問入浴事業所として登録がある全2,330か所の事業所
■サンプル数:訪問入浴に関連する事故・体調不良例596例、正常に入浴を終了した対照例1,511例
■項 目:
年齢、性別、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、要介護度、 Modified Rankin Scale 、意識レベル、認知症高齢者の日常生活自立度、入浴前の血圧,入浴前の体温、訪問入浴に関連する事故・体調不良の発生状況
[1] 2016年2月23日現在、本学調べ
[2] 当結果は入浴可否判断の絶対的な基準ではなく、最終的には個別に判断されるべきものです
【関連するリンク先】
~報道関係者からのお問い合わせ先~
・東京都市大学人間科学部 教授 早坂信哉(研究責任者)
・五島育英会(東京都市大学グループ)法人本部広報グループ 高桜(たかざくら)
Tel:03-3464-6916