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世界初、映像遅延を抑制し、クリアな映像の双方向伝送を実現(ハイビジョン映像を越える4K映像を毎秒60フレームで伝送)―東京都市大学とNTT(日本電信電話株式会社)との産学連携―
〜手話講演模様をなめらかな映像で生中継 2009年10月31日実施 〜
学校法人五島育英会 東京都市大学(旧:武蔵工業大学 東京都世田谷区、学長:中村英夫、2009年4月より改称)と日本電信電話株式会社(以下:NTT 東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)は、映像伝送の遅延を100ミリ秒以下に抑え、ハイビジョンテレビの解像度を越える4K/60P※1映像の双方向伝送を実現しました。つきましては、本技術を体験いただく場として、来る2009年10月31日(土)、10時15分より、本学横浜キャンパス(横浜市都筑区)情報メディアセンター2階 プレゼンテーションラボにて、遠隔地で行われる講演を、同技術を用いて生中継いたします。
当日は、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)にて行われるシンポジウム「わかり合える学会のために」の基調講演の模様を、東京都市大学環境情報学部(横浜キャンパス)に生中継で伝送を行います。講演は手話を用いて行われるもので、本伝送システムの利点である高臨場感コミュニケーション技術により、手話の素早い動きや指先の細かな動きをクリアな映像で伝えるほか、横浜キャンパスからの質疑応答が可能な臨場感のある情報環境の体験が可能となります。なお、同講演は、「境界線とコラボレーション」をテーマに、日本の手話表現の第一人者である米内山明宏氏によるもので、「日本手話学会第35回大会」(主催:日本手話学会)のプログラムの一つです。
本講演中継は、独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)の委託研究開発「新世代ネットワークの構築に関する設計・評価手法の研究開発」における評価実験の一環として実施するもので、日本手話学会と超臨場感コミュニケーション産官学フォーラムと共同で開催いたします。なお、ハイビジョン映像※2を筑波技術大学へも配信いたします。
※1 4K/60P:3840×2160画素、毎秒60フレーム、映像伝送の遅延を100ミリ秒以下に制御
※2 ハイビジョン映像:1920×1080画素、毎秒30フレーム
シンポジウム「わかり合える学会のために」及び、4K/60P映像双方向伝送の概要は下記のとおりです。
世界初、映像遅延を抑制し、クリアな映像の双方向伝送を実現(ハイビジョン映像を越える4K映像を毎秒60フレームで伝送)
〜手話講演模様をなめらかな映像で生中継〜開催概要
■名称:シンポジウム「わかり合える学会のために」(生中継)
■開催日:2009年10月31日(土) 10:15開演
■参加費:無料
■受信会場:東京都市大学 環境情報学部(横浜キャンパス)
情報メディアセンター2階 プレゼンテーションラボ(神奈川県横浜市都筑区牛久保西3-3-1)
アクセス:横浜市営地下鉄 中川駅(東京都市大 横浜キャンパス前)下車徒歩約5分
■タイムスケジュール 9:45〜10:15 受付開始
10:15〜10:30 開会式
10:30〜11:45 基調講演「境界線とコラボレーション」米内山 明宏氏(有限会社 手話文化村 代表)
■手話シンポジウム主催:日本手話学会
■手話シンポジウム後援:独立行政法人 科学技術振興機構 地域の科学舎推進事業
「日本手話コミュニティにおける情報保障と情報伝達のための遠隔通信技術体験型ワークショップ」
独立行政法人科学技術振興機構 さきがけ
「インタラクション理解に基づく調和的情報保障環境の構築」
■手話シンポジウム協力:筑波技術大学、超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム
4K/60P映像双方向伝送について
【背景】
東京都市大学環境情報学部とNTT未来ねっと研究所は、ハイビジョンTVの4倍の空間解像度 (3840 x 2160画素)を有し、同じくハイビジョンTVの2倍の時間解像度となる毎秒60フレームの映像である4K/60P超高精細映像※3の高品質配信技術とその利用方法について研究開発を進めています。今回、世界初の4K/60P映像の双方向伝送の実現により、手話の非常に素早い動きや指先の細かな動きまでリアルタイムに遠隔地に伝えることができる高臨場感コミュニケーション環境を構築いたしました。
【講演中継の概要】
10月31日に開催される日本手話学会第35回大会の基調講演において、講演会場である東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)と東京都市大学横浜キャンパス(横浜市)間を4K/60P映像の双方向伝送で接続し、高臨場感コミュニケーション環境を構築します。この環境を用いて、手話による遠隔講演を高臨場感コミュニケーション技術でリアルタイムに生中継します。駒場キャンパスと横浜キャンパスそれぞれに、4K/60P仕様のカメラ(以下、4K/60Pカメラ)と映像表示装置をNTT未来ねっと研究所が開発した4K映像IPストリーミングシステム※5につなぎ込みます。それぞれのキャンパスに設置された4K映像IPストリーミングシステム間を独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)が運用するJGN2 Plus※4で接続し、IPネットワークを用いて双方向伝送を行います(図1)。
4K/60P仕様のカメラで撮影された映像は、4K映像IPストリーミングシステムにより、符号化方式JPEG 2000※6で圧縮し各会場に配信します。受信会場では、4K映像IPストリーミングシステムにより受信した圧縮映像を伸張し、4K/60P用の表示装置により超高精細映像を映し出すことで、手話による遠隔講演の様子が高品質で低遅延の臨場感あふれる映像をご覧いただくことができます。
また、今回の中継では、東京大学に設置した4K/60PカメラからHD映像(1920x1080画素、毎秒30フレーム)を筑波技術大学(つくば市)へ配信いたします。
なお、本実証実験は、以下の研究の一環として実施します。
・NICT委託研究「新世代ネットワークの構築に関する設計・評価手法の研究開発」
・(独)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ「研究領域:情報環境と人、 課題名:インタラクション理解に基づく調和的情報保障環境の構築」
また、本実証実験システムには、総務省委託研究「次世代映像コンテンツ制作・流通支援技術の研究開発」の成果が活用されています。
【今後の予定】
東京都市大学と日本電信電話株式会社は、高品質映像を用いた高臨場感コミュニケーション環境利用技術の確立を目指していきます。
<用語 解説>
※3 4K/60P超高精細映像
4K映像とは、横方向に約4000画素、縦方向に約2000画素で1画面あたり約800万画素からなる映像のことで、1920x1080の画素数で規格化されているHD映像に対して、その四倍角に当たる3840x2160画素の映像と、デジタルシネマ規格での4096x2160画素の映像の二種類があり、本実験は前者を用いています。4K/60P映像とは、毎秒60フレームのプログレッシブな4K映像を示します。
※4 JGN2plus
独立行政法人情報通信研究機構が、超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク。JGN(Japan Gigabit Network)からJGN2へと発展し、平成20年4月よりJGN2plusとして運営されています。
※5 4K映像IPストリーミングシステム
4K映像信号をリアルタイムに符号化・復号しIP伝送するシステム。映像符号化方式にはJPEG 2000(※4)を用い、遅延の少ない映像伝送が可能。JPEG 2000方式によるス ケーラブル伝送機能があり、圧縮された4K映像ストリーミングからHD解像度の映像を復号します。また、内蔵ストレージを利用して録画ができ、録画した映像の再生や配信機能を有しており、パケットロスに対応するために超高速エラー訂正技術を搭載しています。
※6 JPEG 2000
ISOとITUの共同組織であるJoint Photographic Experts Groupで規格化された映像圧縮方式の一つである。時間方向の圧縮を行わず、フレーム毎に圧縮を行っています。
図1 実験システム構成
関連するリンク先
本件に関するお問い合わせ先
東京都市大学 環境情報学部 総務課
(電話)045-910-0104
日本電信電話株式会社 広報室
(電話)03-5205-5550
伝送システム関するお問い合わせ先
NTT先端技術総合研究所 企画部広報担当
(電話)046-240-5157